2010年12月28日

デジタルの音はまだ発展途上かも

CDが登場して、もうずいぶんたちます・・当初は高価だったCDプレーヤーも、今では安価になり、ラジカセなどに内蔵されるようになりました・・つまり、大半の人がCDを聞くことができるようになりました・・

CDは人間の耳に聞こえる音を概ねカバーできるように1秒間に音楽の電気信号を4万4100回に区切って、測定し、それを16ビットのデジタルの値にして記録するようになっていました・・

理屈上は、これで20Hz~20KHzの音の再生が可能・・記録可能な最大の音と最小の音の比率・・つまりダイナミックレンジは97dBにも達し、ノイズはほとんど出ないためノイズとの比率はもっと大きな数字です・・

レコードが概ね70dB止まりだったのに比べると理屈上は格段によくなったはずでした・・

しかし、各メーカーから出たCDプレーヤーから出る音は、何故か不自然な感じで、レコードの方が音がよいと言う方が多々いらっしゃいました・・

それで、CDプレーヤーの方で改良が進むことになります・・

まず、11次くらいの強力なアナログフィルターを使わないといけないプレーヤーが大半だったのを、オーバーサンプリングによって、3次程度まで軽減・・左と右で、同じD/Aコンバータ(デジタル信号をアナログに変換する回路)を使っていたのを、左右独立にしました・・その頃、CDプレーヤーは2~3万円まで下がってきて、普及が加速的に進みます・・

それでも、音が不自然という指摘があるので、今度は、D/Aコンバータそのものに、メスが入りました・・それまでのD/Aコンバータはマルチビット形と呼ばれ、CDに記録されている16ビットそれぞれの信号を出すスイッチを16個備えていました・・

ところが、いちばん大きな信号を出す所と最も小さい信号を出すスイッチで出てくる電気信号が3万倍以上も大きさが異なるのです・・
D/Aコンバータの各スイッチから出てくる電気信号の大きさは内蔵されている抵抗によって決まっていましたが、抵抗の誤差が結構あり、大きな信号と小さな信号を重ねて音にしていく時、ひずみが出てしまうことが判明・・

当初は、D/AコンバータのIC内にある抵抗をレーザートリミングして調整したり、D/Aコンバータの外に可変抵抗を付けて調整するといった対策が講じられましたが、全ての抵抗にそれができず、根本的な解決に至らなかった・・

そこで登場したのが1ビットD/Aコンバータ・・現在、大半の機種で1ビット式が使われているはずです・・

これはオーバーサンプリングの技術を応用して、D/Aコンバータを4倍程度の速度ではなく何十倍もの速度で作動させ、スイッチは一つのみ、大きな音なら3万回以上スイッチをオンにして、最も小さい音なら1回だけオンにすうという方式です・・

これにより原理的に抵抗の誤差は出なくなりました・・確かに、それまでのマルチビット方式に比べ、ずいぶん自然な音になったと感じました・・

でも、かつてカセットテープで発売されていた音楽・・つまりレコードのカセット版と同じCDが復刻して発売されたら購入して聞いてみると・・

確かにCDの方が鮮明な音がする・・高音もきれいに出ているし、ノイズもほとんど聞こえない・・
ところが、聞き込んでいくと、カセットの方が自然な音なのです・・カセットの方が高音はあまり出ないし、ノイズもサーと出るのですが・・楽器の音が生々しいのはカセットの方なのです・・

知人で今もレコードプレーヤーを持っている方にその話をしたら、やはり同じ楽曲が入ったレコードとCDでは、レコードの方が生々しい音がすると仰っていました・・

すでにCDの音を圧縮した音源を使うデジタル音楽プレーヤーが普及していますが・・デジタルの音は、まだ何か改善しないといけない余地があると私は感じます。

特に、ボーカル物のCDをかけて例えばMDデッキでレベルを見ると分かると思いますが・・ずっと最も大きい音の0dBまでレベルメーターが振れています・・

本来は、音の大きさがずっと同じわけないので、音楽を収録してCDにする課程で、音楽データに加工を施してあるわけです・・本来は音の大きさが変化するのに、大きい音はおさえて、小さいところはあげて、ついでに0dBを越えたらいけないので、リミッターをかける・・・

私は、この加工は必要ないと思います・・音は加工すればするほど悪くなります・・できれば、生のままが理想なのですが・・・それは無理なので、いろんな加工をします・・でも、音の大きさを無理して0dBに揃える加工は、むしろ音質劣化につながっていると危惧します・・

CDが出てからある程度の期間内に発売されたCDはボーカル物でも、レベルが-10dBくらいで、音の大きさが変化しています・・

昔のCDプレーヤーではいい音とは思わなかったけど、今、聞くと、これらの方が自然な音がします・・・

ということは、パソコンに取り込んだ音楽も、なるべく加工しない方が音がよいわけです・・・・

アナログテープからデジタル化して、PCに取り込むアイテムがいろいろ発売されているけど、個人的にはアナログはアナログのまま聞くのが最も音がよいと思います・・

デジタル化の部分でまずロスが発生し、PCで音楽信号を加工しますが、このときにもロスが発生します・・つまり、元の音より悪くなってしまうわけです・・

デジタル化するよりも、再生用のテープデッキを1機種でもいいから販売し続けてくれた方がよいと個人的には思っています。

kensan156m at 18:27│Comments(2)TrackBack(0) 音楽・オーディオ・ビデオ関係 

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この記事へのコメント

1. Posted by はやぶさ いさむ。♪   2010年12月29日 16:50
5 そうですよね!

MDのレベルメーターが0dBで固定されたような
再生状況のCDって音が加工されてあり不自然。

特に邦楽のポップスのなかでもアイドルに多く
クラシックは、あんまり加工していないような。

カセットデッキにつないでもずっと同じレベル。
たとえポップスでもどっかで音が小さくなる
はずなのに…
ヘンですよね。
2. Posted by けん   2010年12月29日 17:09
>はやぶさいさむさん
レベルメーターで見るとずっと0dBまで振れる状態って不自然ですよね・・
ポップスでも音の大きさはある程度変化するはずです・・それを、わざわざ0dBに無理矢理揃える加工は逆に音質劣化につながると懸念しています。

面白いことを仰る方がいて、CDをカセットに録音した方が自然な音になるというのです・・

試してみると、確かに生々しさはカセットの方がよく出ます・・ノイズは増えるし、高域は弱くなるけど・・

デジタルの音楽は単純にサンプリング周波数を上げたり、ビット数を上げれば音がよくなる・・わけではなく、何か仕組みの中に改良を要する所があるのだと感じます。

もしくはCDにするときに、デジタル化された音楽データを加工しすぎているのかもしえません・・それなら、少々音の大きさが不揃いでも、あまり加工せずに販売してくれた方がいいと思っています。

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